甘い獣

「慶次殿ー!」
桜吹雪の舞うこの季節、花見がてら茶でも飲もうかと茶店に足を運んだ慶次は、そこにいつもの彼の姿を見つけた。
彼は相変わらず元気一杯な様子で団子を頬張り、こちらへ手を振っている。
「幸村!やっぱり今日もここにいたんだな」
「勿論でござる!」
そう言ってニッコリ笑う姿はまるで人懐っこい犬のようで、彼は男なのに何故か愛らしい。
もっと幸村の事を知りたいと思ったのが相手にも伝わったのかどうかは分からないが、知らず知らずの内に慶次と幸村との距離は縮まっていった。
「それにしても、ここから見える桜は美しいでござるなぁ」
団子を頬張って言うその姿を見、微笑みながらうんうんと頷く。確かにここの桜は綺麗だ。
それにこの通りには何十本も桜が有るから桜吹雪がこの茶店まで飛んできて、それもまた美しい。
…でも。慶次は首を傾げた。
「どうしていつもここにいるんだ?」
幸村に会えるのは嬉しいが、別にここ以外にも桜の観光名所は沢山有る。
それに団子だって、幸村ほどの地位の者なら、屋敷にいても好きなだけ最上級のものを食べられるだろうに。
自分の立場を棚にあげて、慶次は近頃ずっとそんな事を考えていた。
「どうして…と言われましても」
考えに考えぬいた末の慶次の問いに、幸村は団子を食べ終えてからそう答えた。
そしておもむろに慶次の顔をまっすぐ見つめ、先程の笑みとはまるで違う、獣のような微笑みを浮かべた。
…次の瞬間。
「…ッ!?…ちょっ、待…ゆき、むら……ん…ぁ………!!」
突然落とされたのは、甘いキス。
そしてそれは2回、3回と数を重ねていくごとに段々深く、重いものに変わってきていた。
慶次は息をする事さえ忘れて幸村と唇を合わせてゆく。
何回もその行為が繰り返され、この直前まで幸村の食べていた団子の味まで分かってしまったその後で、やっと慶次は解放された。
荒く息を吐きながら幸村を見ると、彼は口の端をほんの少し上げて楽しそうに笑っている。
「…それでは今日は他に用事が有りますので、これにて」
その楽しそうな表情のまま、そう言い残して花吹雪の舞う道を歩いていく幸村を慶次はただただ見つめていた。
「犬じゃなくて狼だったのかよ…」
そう不満気に言いながらも顔に触れると先程よりもずっと熱くて、慶次は一人、困ったように微笑んだ。

「…何だ、二人して同じ事…考えてたのか」




つまり、貴方に会いたかったのです
 

基本、私はゆっきが攻めてれば受は誰でもおkなタイプです←
でもKG受って…やっぱ流石にマイナーですかね(確実にそうだろう
只今切実に同士様を募集中。。。
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